政治を考える③ 「世論調査」の基本
みなさん、こんにちは~
たまです!
前回は、「フェイクニュース」について取り上げてきました。
今回は、前回と関連しつつ、少し発展していきます。
テーマはずばり、「世論(よろん、せろん)」です!!
なぜ、世論をテーマにしたか。
ぼくは前職の仕事で、ある新聞社の世論調査の業務に携わっていました。
そうした点から、世論調査の実態や正しい活用法について、お伝えできることがあると考えたからです。
「世論」とは
国語辞典や広辞苑を開くと、
「世間一般の人々の議論・意見。世間の大勢を制している意見。」
などと記載されています。
ニュースなどで「世論調査」という言葉を耳にしたことがあるともいます。
その「世論」ですね。
ちなみに、「世論」には、よろん/せろんと2つの読み方があります。
参考1:佐藤卓己(2008年)
『輿論と世論―日本的民意の系譜学―』新潮選書
「世論」はいま、ヨロンともセロンとも読むが、戦前は「輿論=公的意見」「世論=大衆感情」と区別していた。
⇒第二子世界大戦前は、漢字によって読み分けがされていましたが、昭和21年(第二次世界大戦直後)に公布された「当用漢字表」に含まれておらず、「世論(せろん)」という文字を代用して使うようになったということも背景にあります!
世論と政治
日本やその他多くの民主主義国家では、国民の意見(世論)が政治に大きな影響を与えます(北朝鮮などの独裁国家では国民の意見は政治に反映されません)。
その民主主義国家のほとんどは、民主主義の中でも「間接民主主義」という制度を採用しています。
これは、国民が選挙で代議士(国会議員)を選び、その国会議員で構成される「立法府」で国民の暮らしに影響する法律の制定などの議論をしています。
そして、数年に1回程度のスパンで、国会議員を選ぶ選挙があります。
例えば、現在安倍政権は「連続して7年以上」与党として、政権を握っています。
なぜなら、その間の国政選挙に連続して「勝利」を収めてきたからです。
世論調査と政権
政治家、特に政権が気にするのが「世論調査」の結果です。
世論調査は、報道各社(テレビ局・新聞社・通信社など)が定期的に実施しています。
では、世論調査はどのように行われるのでしょうか。
〇誰が…?
テレビ局・新聞社・通信社などの担当者
※基本的には、コールセンターを設置し、コールセンターの調査員が電話をかけることが多いですが、昨今では、「オートコール」(自動音声応答通話)形式で実施するケースも出てきています。
※オートコール形式での調査は「世論調査」とは言えないのではないか、という批判的な意見もあります(ぼくもその意見に近いです)。
詳しくは、参考2の日経リサーチの記事をご参考ください。
参考2:日経リサーチ/自動音声応答通話(オートコール)を使った
「世論観測」サービスを開始
https://www.nikkei-r.co.jp/news/release/id=7250
〇誰に…?
有権者(18歳以上の日本国民)にランダム(無作為)に
〇どうやって…?
固定電話や携帯電話に
〇いつ…?
毎月(定期的に)
よく「世論調査」は捏造されている、などと一部の市民、政治家や知識人(左右問わず)が主張しています。
それは基本的にあり得ません!!
その理由は、以下の3点です。
・各社は捏造できない調査方法を実施している
・各社は政府や行政機関から独立して調査を実施している
・調査結果に明らかな「矛盾」があれば、(他社や同社の時系列結果と整合性が取れず)ばれてしまう
捏造できない調査手法
多くの会社では、RDD(Random Digit Dialing)法と呼ばれる調査手法を採用しています。
RDD法のイメージ
①全国の約1億人いる有権者から
②無作為に数千人程度の調査対象者を選ぶ(ランダムに選ぶ≒無作為抽出)
⇒サイコロを振るイメージです
③②のリストの対象者に電話をかけて内閣支持などの意見を質問する
参考3:日経リサーチ/調査・統計用語集>RDD
https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=80
たまに、「朝日新聞は自民党に厳しい」「読売新聞は自民等に甘い」などといわれますが、②の時点でそれはあり得ません(恣意的に選べない仕組みになっています)。
ただし、調査「協力者」の層(朝日新聞の世論調査への協力依頼に自民党支持層は拒否するなど)に多少の偏りが「結果的に」生まれる可能性は否定できません。
※調査実施機関の意図的なものではありません
また、回答選択肢が会社によって違うことがあり、「結果の見え方」「見せ方」が異なることはたびたびあります。
次回、その結果の見え方や活用方法について紹介させていただきます!
本日はありがとうございました!(^^♪